ラーセン人体発生学 第4版 西村書店より
感覚重視で、とらえどころの難しい『操体法』ですが、からだの仕組みをうまく使ったものです。
健康法にとどまらず、臨床に使えるもの 結果の出せる調整法を身に着けることが、この講習会の目的です。
そこで、毎回全体のテーマを設けています。
今期のテーマは、
操体法 動きと自律神経バランスの関連を探る』
『内臓のバランス観察と調整』
*膜構造と経絡、動きの関連をさぐる。
併せて、骨盤、椎骨の触診理論もお伝えしていきます。
操体法は基本操法各論ということで、『膝倒し』をお伝えしました。
当たり前ですが、具体的な調整目標をはじめに設定して、そのためにはどのように運用するかということが大切です。
操体法は、自分の動きを使う調整法ですから、どこからスタートしてどこで抵抗をかけるか(ストップするか)どの方向で抵抗をかけるか
といったことが、ポイントになりますね。
今回は細かい触診理論のお話はあまりしないで、実技の時間を多くして、まずはからだの変化を体験してみました。
次回からは、骨盤触診理論も触れていきます。
また、今期もからだの仕組みを理解していくうえで大切な発生学についても触れています。
今回は、受精から数えて第3週後半、発生20日目頃から第4週以降第6週目あたりまでのお話をしました。
ここでは、尾部での器官形成の過程が大変特徴的です。
原始線条の形成が原腸形成の始まりですが、原腸形成進行とともに、原始線条は消失していきます。
しかし20日目ごろ原始線条の残りが膨らみ、尾部の正中で尾芽(尾部隆起)となります。
ここから体の尾部の構造がほとんど形成されるそうです。
尾部の神経管(中枢神経系)神経堤細胞(末梢神経系)及び体節(筋、骨格)が尾芽から作られます。
つまり、尾部以外は原始線条から3胚葉が出来て器官原基が形成されるのに対して、尾部は胚葉形成をせず直接的に器官原基を形成するのです。
なんだか尻尾は別の生き物のような進行じゃありませんか?不思議ですね!
そして第4週以降中枢神経系の原基である神経管が形成されます。
その背側から発生する細胞集団が神経堤細胞です。
神経堤細胞は大変特徴的で、神経管を離れてからだの特定の場所に移動していき、様々な組織に分化していきます。基本的には末梢神経系
自律神経系の原基となっていくのですが、顔面頭部では真皮、平滑筋、歯の象牙芽細胞、鼻、顔、中耳の軟骨、脊髄の髄膜のうち軟膜とクモ膜にまで分化していくそうです。
そして腸管神経系形成課程での神経堤細胞の腸管への進入経路がたいへん重要です。
一つは迷走神経域の神経堤細胞は食道から直腸まで消化管全域の壁に移動していきます。(頭方から尾方の進行)
同様に先に触れた尾部(腰仙域)の神経堤細胞も消化管壁に移動していきます。(尾方から頭方の進行)
つまり、消化管下部は迷走神経域と腰仙域の神経堤細胞の二重の起源をもつ細胞が宿っているということなんです。
最近よく免疫学や栄養学の分野で脳と腸の関係が取りざたされることが多いですが、尻尾(腰仙部)についてもうすこし研究が進んでくれると興味深い発見がありそうですね。
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