川名操体治療室は身体の歪みやバランスを整えます

本紹介　
『コスモロジーの心理学　コスモスセラピーの思想と実践』　岡野守也著　青土社2011年12月発行

腰が痛い、肩がこる　つらい症状は早く治したいですよね。
でも、症状が改善して健康になれば、それで人生の目的は達成するのでしょうか？
もちろん、違いますよね。

操体法では、「食、息、動、想」の4つのキーワードで私たちの生き方を指南してくれています。
その中の、想のあり方が、いまこの時代大きく問われていると思います。

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東京新聞　2012年　1月22日書評から


トランスパーソナル心理学を介した「コスモス、セラピー」を岡野さんは提唱してきた。
それは、個を超える宇宙や人類の結合から現代人の生きる困難さやニヒリズムを解消する心理療法による教育と自己実現のあり方だ。

「大学での仕事や企業の研修を通じて、若者たちの気持ちがすぐ折れたり鬱になりがちなことを実感してきた。戦前までの日本人は民俗神道や仏教や儒教の倫理や秩序を支えに生きてきたが敗戦の衝撃、戦後の公教育、アメリカの政策などで、それは解消した。

自由の感覚や経済成長に解放感があったうちはよかったが、個人を超える価値観をないがしろにしてきたために招いた物質中心、自己中心主義で、現代人は生きる根拠や指針を見失った。戦前の価値観に帰ることは不可能ですが、伝統と現在を統合する新たなコスモロジーを探る必要がある」

本書は、その日本人のコスモロジーの変遷をたどり、さらに現代科学や宇宙観の枠組みで物質や生命の誕生、人間への進化から個体と宇宙や生命との根本的なつながりを、若者へ語るスタイルで説明している。コスモス、セラピーとはそのための認識や方法であり、実践的な心理療法のワークショップだ。

「社会一般や学校では依然として物質中心の近代科学の言説が主流ですが、アインシュタインはそれをエネルギーに還元した。
下手をするとオカルト的に現象しかねない心の世界を現代科学の定説から解き明かすことで共感を得てもらい。生命が個を超えるものにつながることを知り、生きる自信を築いてほしい」

元牧師だからだろう、説明の手際も口調もやわらかく説得力に富み、人間と宇宙の間に横たわるみえないつながりを気づかせてくれる。

既成の宗教の教えのみならず、新しい知や理論を取り入れることで、意識がより拡張していく効力が感じられる。

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＊「コスモロジー」
人類学、宗教社会学的用語　世界、宇宙にどういう秩序、条理、法則があるのかを体系的に語る言葉、あるいはそれによって語られた体系的な宇宙観


かつては宗教の神話でしか答えられなかった「私たちはいったい何者なのか。どこからやって来て、どこに行こうとしているのか。」
という人生の根本にかかわる問い＝ビッグ.クエスチョンにある程度、理性的、現代科学の言葉で語れるとしてして、生きていることの宇宙的意味を理解し、個人として宇宙から与えられている能力や長所の意味に気づくことによって本当の自信を身につける。

「ただ生きているだけでも意味がある」といった勇気づけのメッセージが、単なる気休めなどではなく、深い事実の裏付けがあることを納得する。
これが、「コスモス、セラピー」なんですね。


筆者は最後にこう書いています。

「近代科学が意図せずしてニヒリズムの道筋を拓いてしまい、現代科学がおそらくこれもまた意図せずしてニヒリズムを抜け出す道筋を示している。

というのはとても不思議な気がしますが、これが科学の進化、思想の進化、意識の進化ということなのでしょう。3.11以降、このままのシステムでは日本も世界も持続不可能であることがますます明らかになりつつあります。

そうしたなかで、もし私たちが持続可能な世界の構築に向けて先に進みたいのなら、科学も思想も意識も飛躍的な進化を遂げる必要があると思われます。
そして幸いにして科学、思想は飛躍的進化のために必要なコスモロジーをすでに準備してくれている、と筆者は考えています。
残るは、できるだけ多くの人が新しいコスモロジーを学び、さらに深く身に着けることによって、意識の進化を遂げ、そのことを通じて社会システムの飛躍的進化を促進していくということだけなのかもしれません。」あとがき P299〜



＊参考にしてくださいね*
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