患者様:30代女性
症状:自転車に乗っていて事故に遭われて前に放れ出されて背中を地面に強打して、胸椎7番を圧迫骨折されたそうです。
もう少しで脊髄神経を損傷するところだったという大けがで入院中1ヶ月は絶対安静だったそうです。
その後コルセットで固定、ここに来られたときはコルセットをはずして2ヶ月程経ったところでした。
症状としては当初右脇腹が痛かったそうですが現在は左の腰と、股関節が痛いと訴えられていました。
診断:
事故当時の様子や自転車に乗っているときの姿勢など伺っているうちに、その方の受けた事故による外力の方向、流れが判ってきました。
乗っていた自転車はロードサイクルタイプでしたのでもともとがすこし前傾姿勢です。
事故の衝撃で前に放り出され右肩から前受け身をするように地面に打ち付けられたんですね、そして胸椎7番が椎体の前側をつぶすように骨折してしまったわけです。
胸椎の7番というのは体型分類でいうところの回旋型の関連椎骨、かなめの椎骨なんです。
後方確認の姿勢やショルダーバックを左肩から右腰にかけて、タスキがけにする姿勢など意外と自転車の操作は捻りが入っていたのですね。
だからよけいに辛かったのだと思います。
ラクな姿勢を捜したところうつ伏せで頚を左に向けることが出来たので、操体法の基本姿勢うつ伏せをベースに動いてみました。
背中に受けた外力(右上から左下)と逆の方向(左下から右上)に向かって皮膚をさすり上げるように触れると気持ちよいとのことでした。
多分に元に戻る動き、流れに手応えがあったようです。
また、背中全体が緊張していましたから当然お腹の方も堅かったので腹部の調整もしておきました。
主に右下腹部が堅く又右足の経絡でいえば肝経(足の親指から足の内側を通るライン)に違和感がありましたので、均整法でいうところのくつろぎの姿勢(緊張部位がほぐれる姿勢)で右手の小腸経(小指側)に刺激を与えて整えてみました。
均整は相関関係を使って局所を直接触らずこのように下の異常を上で取る様な操作をよくします。
これによって全体のバランスが取れるわけです。
アドバイス:
ご自分でやれる操法(先に書いたうつ伏せの操法など)をお伝えしたのですが熱心に取り組まれたようでその後にいただいたメールでご自分の回復力のすごさに驚かれた様子が書かれていて私としても嬉しかったです。
またからだの様子というのは刻々と変わりますから(それが生きているということですよね)時々軌道修正に来られると良いでしょう。
椎骨が骨折したところは元には戻らないわけですからここまで回復してくれたからだに感謝してこれからも丁寧につき合っていってくださいね。