ラーセン人体発生学 カラー版 第4版 西村書店 より
感覚重視で、とらえどころの難しい『操体法』ですが、からだの仕組みをうまく使ったものです。
健康法にとどまらず、臨床に使えるもの 結果の出せる調整法を身に着けることが、この講習会の目的です。
そこで、毎回全体のテーマを設けています。
今期のテーマは、
操体法 動きと自律神経バランスの関連を探る』
『内臓のバランス観察と調整』
*膜構造と経絡、動きの関連をさぐる。
併せて、骨盤、椎骨の触診理論もお伝えしていきます。
操体法については概論ということで、基本操法の全体の流れをお伝えしました。
次回から、改めて一つずつ丁寧に解説していこうと思います。
講義のテーマとして、内臓や膜構造を取り上げましたが、今期も発生学の観点からからだを眺めていこうと思っています。
今回は、受精から数えて第3週、発生15日目頃からの胚盤の変化について考察いてみました。
この時期は、胚盤というぐらいですからまだ2次元で板のような形態で、なんかパソコンのマウスみたいな感じです。
その正中に溝のようなものが出来て(原始線条)からだの方向 頭尾 体軸 左右 前後(腹背)といった基本的な極が規定されていきます。
そこから原腸形成といって細胞が移動して溝が深まったり伸びたりして内胚葉、中胚葉 外胚葉といった器官の原基のブロックのような構造が形成されていきます。
この課程で、脊索という構造が出来るのですが、原始線条の頭端から脊索突起という管が次第に伸びて棒状になり脊索となります。
脊索は後の発生の過程で椎体の原基に取り囲まれ椎間円板の中心で髄核になるといわれていますが、小児の早い時期に脊索由来の髄核の細胞は退縮して中胚葉細胞に置き換えられるそうです。
ですから脊索は脊柱の骨性要素にはならないそうです。
ではこれは何の意味があって出現するかといえば後の神経系統や椎体形成の発生の誘導とパターンニングに大きな役割をもっているということだそうです。
そしてその脊索形成の細胞の動き振る舞いが面白い。
収束伸長運動というそうですが、
収束とは正中へ向かう運動で
伸長とは頭尾軸に向かって伸びる運動でこの2つの動きは連携して起こります。
この動きには細胞挿入という内外方向での細胞の割り込みが大きく働いているそうです。
その例えがわかりやすい。
4車線の自動車道が2車線になるようなものだというのです。
各車線に5台、合計20台が走っていたとして、2車線になれば1車線あたり10台となって車列は長くなりますよね。これに加えて細胞分裂の方向性も重要だそうです。
調整、臨床の世界では3次元の動きの分析として3本の座標軸の周りの回転運動として動きを整理、分析するというのが
オーソドックスな捉え方ですが、当然それだけが動きの捉え方ではないはずです。
形態発生の過程での細胞の動き、振る舞いを観察すると新たな視点が広がるように思います。
収束伸長運動、さてどのように臨床に応用してみましょうか?
発想が膨らみそうでワクワクしますね!
次回は2次元構造だった胚盤の端が巻き込み、折りたたまれて入れ子状のチューブ構造になっていく過程を追っていきます。
基本的な脊椎動物の形が生まれていく歴史を辿っていきます。
お楽しみに〜
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