治療室講習会(臨床家向け)は12回コースで今回は7月から12月まで月2回行うものです。
臨床家向けとうたっていますが、参加条件として、特に資格の有無等は問いません。
からだについて興味があり、操体法を通じてもっといろいろ知りたい、体験したい方、向けに行っています。
もちろん、現在のお仕事や将来に生かすため、スキルアップを目指している方も大歓迎です。
講習会ページ
8月10日第3回目を行いました。
このセミナ=のテーマとして挙げているは。
『操体法 動きと自律神経バランスの関連を探る』
*動きと内臓の繋がりをさぐる。
です。
今回はその入り口として、自律神経系の概論のお話をしました。
”自律神経”という言葉自体は、よく耳にすると思いますが、
具体的に実際どのようなシステムが、このからだの中で今、発動しているのだろうか?
どこの、回線がエラーを起こして具合が悪くなっているのだろうか?
と、探っていくと、実は現代医学でも、わかっていないこと、わからないことがたくさんあります。
それは、なぜかというと、生きている今のからだ中の状態を探ることが難しいからです。(当然ですよね)
でも、本やネットを見ると、もっともらしく、こうすると健康になれるとか、こんなものを食べてはいけない
とかいう情報があふれていますよね。
そういった情報の根拠は何なんでしょう?
もちろん、医学的な実験や検証はしているという前提ですが、
それは、実際の症例、体験のデータの積み重ねというところが大きいのです。
要は、結果が良ければ正解!
ということです。
臨床の世界は、学術研究機関でないので、特にこの傾向は強いです。
もっと、極端に言えば、結果が良ければ、どんな方法を使ってもよい。となります。
宗教や気合や(注)プラセボ効果で変わったっていいんです。
でも、ちょっと待ってください。
結果が出た、出なくて変化がなかった、ならまだしも、もしそれで、具合が悪くなることはないのでしょうか?
もっと、早く適切な医療機関で治療を受ければ早く改善するケースの方のチャンスを奪ったりすることはないのでしょうか?
臨床家の私たちがやるべきことは、謙虚に自分のやっている技術を検証をして、日々進歩、更新される医療情報にアンテナを張って
目の前の、受け手の方に適切な医学情報の提供と調整、日常生活のアドバイス、セルフケアの指導をしていくことだと思っています。
ということで、
前置きが長くなりましたが、自律神経のお話を今回したのですが、
仕組みを理解するときに、その仕組みが出来上がっていく過程を知ると理解しやすいです。
からだの場合それは「発生学」を紐解くということです。
臓器の形成と脈管の形成、そして神経ルートの形成、これは同時並行に行われ、
何かに導かれて、はじめからゴールがわかっているかのように、血管、神経は
筋肉や臓器など各器官にその枝をのばして行くのです。
まったく、もって不思議ですね!
よく、ちゃんとたどり着くものだと思います。
(でも、実はエラーもたくさんあるはずです。きっと具合の悪さの原因もそんなところにある場合もあると思っています。)
自律神経、特に交感神経系のルートの成り立ちを、今回お話ししました。
(副交感神経系、迷走神経系はその走行がかなり複雑で解釈もいろいろあります。
その点、交感神経系のルートは、比較的わかりやすいので、ここから理解を深めていくとよいと思います。)
(注)プラセボ効果
偽薬効果とも呼ばれており、本来は薬効として効く成分のない薬(偽薬)を投与したにもかかわらず、病気が快方に向かったり治癒することを意味する。
だがそのメカニズムは完全には解明されていない。
椎体前神経節からの節後交感神経線維は、これらの動脈に沿って伸び、したがって動脈が血液を供給するのと同じ組織を支配するようになる。
腹腔神経節からの節後線維は、腹腔動脈により栄養される遠位側の前腸領域、つまり前腸のうち食道の腹腔に入った部分から十二指腸の胆管合流部までの部分を支配する。
同様に上腸間膜神経節からの線維は中腸(十二指腸の残りと空腸、回腸、及び上行結腸と横行結腸の約2/3)を支配する。
大動脈腎動脈神経節は、腎臓と副腎を支配し、下腸間膜神経節は後腸(遠位側の1/3の横行結腸、下行結腸 、s 状結腸、上2/3の肛門直腸管)支配する 。
ラーセン 人体発生学 第4版 西村書店 P262〜
各消化器が形成される過程で前腸、中腸、後腸という段階があります
腎臓と副腎を支配する流れが、他と違うのも興味深いですね。
*また、参考資料として、大変貴重なページを見つけましたので、ご紹介します。
船戸和弥のホームページ
Rauber-Kopsch解剖学
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